東京のような大都市には多くの百寿者が住んでいます。例えば、103歳の山﨑さんは東京北西部の郊外に家族と暮らし、近所を散歩して体を動かしたり、自分の店でお客さんとお話したり手工芸品を作ったりしており、家族との強い絆を保っています。そのため、山﨑さんの協調能力と認知能力は刺激を受け続けています。

最近、山﨑さんは慶應義塾大学広瀬医師の百寿者研究に参加しました。百寿者の生理学、精神活動、社会環境を研究することにより、広瀬医師は長寿に寄与する要因を特定しようとしています。

山﨑さんの例から何がわかるのでしょうか。

高齢化する世界

毎月、100万人以上が60歳を迎えています

世界は急速に高齢化しています。世界人口に占める65歳以上の人口の割合は、2000年は7%でしたが2050年には16%と2倍以上になると予測されています。この頃までには、人類史上初めて、世界全体で子供(0~14歳)より高齢者の人口の方が多くなると考えられます。


出典:国際連合事務局経済社会局人口部、世界人口予測2006年改訂、世界都市化予測2005年改訂

科学技術の進歩、産業化、社会経済的発達、通信の向上、衛生の改善、食物摂取量の増加が、ここ数十年の平均寿命延長と死亡率低下に寄与してきました。1840年以降、実際に世界の平均寿命は男女共に連続的に延びてきており、女性では毎年3ヵ月近くの延びがみられます。

最も劇的に延びているのが東アジア地域で、日本も例外ではなく、今では世界で最も高齢化した社会です。
現在、日本では平均寿命が83歳を超えており、世界最高水準です。日本は健康寿命も最も長く、女性は78歳、男性は72歳です。


出典:国際連合事務局経済社会局人口部、世界人口予測2006年改訂、世界都市化予測2005年改訂

死亡率の変化にも同様の傾向がみられますが、変化の方向は逆です。現在、全世界の粗死亡率は1000人あたり9.6人ですが、国ごとにかなりの差がみられます。


出典:国際連合事務局経済社会局人口部、世界人口予測2006年改訂、世界都市化予測2005年改訂

少子化社会

日本の人口は、19世紀遅くに始まった急速な増加期の後、1980年代にはその速度は鈍り始め、増加の年率が平均1%になりました。1980年代以降、この速度は急激に低下し、2005年には初めて総人口が減少しました。

今後数十年間に、20ヵ国以上で同様の人口減少がみられると予測されています。今後5年間に、世界で60歳を超える人の数が5歳未満の子供の数を初めて超えるとみられています。日本では、1997年以降、高齢者数が年少者数を超えています。

多くの社会において、出生率が人口を維持するのに必要な率を下回っており、このことが世界中で認められる人口転換を早めています。


出典:米国国勢調査局(2008年)

高齢者の増加

子供の減少と高齢者の増加の直接的影響は、社会の平均年齢の上昇です。2007年の日本の高齢化に関する研究の中で、フロリアン・クルマスは「1989年には、65歳以上の高齢者は日本の人口の11.6%を占めていた」と述べています。2006年にこの割合は20%に達しましたが、高齢社会から超高齢社会への転換には至りませんでした。しかし、日本政府の最新のデータによると、2008年3月現在、65歳を超える人の割合は21.6%に達しています。

クルマスは下記のように、高齢者の人口割合に基づいて3種類の社会を挙げています。

-高齢化社会:人口の7~13%が65歳以上
-高齢社会:人口の14~21%が65歳以上
-超高齢社会:人口の21%以上が65歳以上

従って、日本は現在「超高齢社会」の範疇に移行したと言うことができます。日本人以外の方は、ご自分の国の状況を調べ、日本の経験を手引きとして、超高齢社会へと転換していく各段階の関連性について考えてみてください。基礎知識を得るためには次の文献をご参照ください。

Florian Coulmas(2007)Population Decline and Ageing in Japan-the Social Consequences, Routledge

百寿者の割合は今日の高齢化人口の中で増大している

さらに特徴的なことは、晩期高齢者(山﨑さんはすばらしい例です)の著しい増加です。現在、日本には3万2,000人以上の百寿者がおり、その85%が女性です。この数は1970年以降、着実に増加していますが、当時は100歳を超える日本人はわずか310人でした。2005年から2025年までに、百寿者は最大の増加が見られる年齢集団となるでしょう。


出典:国際連合事務局経済社会局人口部、世界人口予測2006年改訂、世界都市化予測2005年改訂

日本は百寿者の最も多い国で、2030年までには人口の25%超が85歳以上になると予測されています。

先進国と発展途上国は同じ道を異なる速さで進む

殆どすべての社会で事実上、女性は男性より長生きします。発展途上国の中には男性の平均寿命が女性より高い国もありますが、平均的に、大半の発展途上国において女性は男性よりも5年近く長生きします。男女差は、全般的に、先進国では縮小し、発展途上国では拡大すると予測されています。

出典:国際連合事務局経済社会局人口部、世界人口予測2006年改訂、世界都市化予測2005年改訂

高齢化は、高所得の社会だけでなく、低所得・中間所得の社会にも影響を及ぼします。しかし、高齢化の速さは異なります。

65歳以上の人口が7%から14%になる人口統計学的高齢化プロセスが、フランスでは115年かけて展開されてきたのに対し、日本では26年しかかからず、ブラジルでは21年で起こると予測されています。

出典:
United Nations The Aging of Population and its Economic and Social Implication Population Studies No.26, New York, 1956 (Before 1940) and United Nations World Population Prospects: The 2000 Revision (After 1940)

2006年から2030年までに、低所得および中間所得の国々における高齢者数は140%、それに対して高所得の国々では51%増加すると予測されています。例として、WHOの報告書インドにおける高齢化(Ageing in India)を御参照ください。

人口学的変化と高齢化はこれから発展していく課題を提示しています。それは、豊かになる前に年を老いてしまうかもしれないというものです。WHOの報告書「社会の発展と高齢化―好機の危機(Social Development and Ageing – Crisis of Opportunity)」をご覧下さい。

政策立案者たちは、とりわけこれらの課題に注意深くなり、世界の成功経験をもとに事を進めなければなりません。

追加研究には下記を参照してください。

WHOの高齢化に関するウェブサイト(英語)

WHOの世界的高齢化と成人の健康に関する研究
(英語)

高齢化と健康―アフリカ編(英語)

高齢化と健康―西太平洋編(英語)

高齢社会対策
(内閣府 共生社会政策統括官)

広瀬医師チームの研究ウェブサイト