WHO健康の社会的決定要因委員会のメンバーである黒川清博士は、人口の高齢化に関連した見解を示しています。現在、私たちの寿命の延びに伴い、医学研究も高齢者の障害を低減することに重点を置いています。オリンパス株式会社の人工骨補填材の進歩は高齢者の機動力を改善する事によって高齢者の生活の質の向上に貢献します。
科学と平均寿命の延び
人類の健康状態を向上させるため、ここ150年間にどの時代よりも多くのことが行われてきました。医学(新しいワクチン、天然痘の根絶など)や、人類の知識(よりよい都市衛生制度の確立方法など)の面で、目覚ましい技術的向上と躍進がありました。
下の表は、こうした出来事の概略です。
<1840年~1980年の平均寿命の変化と重要な保健科学的躍進>
| かっこ内は平均寿命概算値Oeppen and Vaupel(2002年) | 重要な出来事 |
| 1840年:45歳 | 1842年、エドウィン・チャドウィックが英国の労働者階級層の衛生状態に関する報告書を発表し、健康に対する環境状態の重要性を主張 |
| 1851年:50歳 | 1854年、ジョン・スノーがコレラの蔓延を防ぐためにロンドンのブロードストリートの水揚げポンプを閉鎖
1862年、ルイ・パスツールが、感染は生物が引き起こすもので、「自然発生」によるものではないという細菌理論を確立 |
| 1879年:55歳 | 1885年、ルイ・パスツールが狂犬病ワクチンを開発
1895年、ヴィルヘルム・レントゲンがX線を発見 |
| 1900年:60歳 | 1908年、イリヤ・イリイチ・メチニコフとパウル・エールリヒが免疫に関する業績でノーベル生理学・医学賞を受賞
1910年、ロス・ハリソンが新しい組織培養法に関する論文を発表 |
| 1921年:65歳 | 1929年、アレクサンダー・フレミングがペニシリンを発見 |
| 1941年:70歳 | 1950年、リチャード・ドール、オースティン・ブラッドフォード・ヒル、アーネスト・ウィンダー、エヴァーツ・グラハムがタバコと肺癌を関連付けた初めての報告書を発表
1951年、国際衛生規則が採択される |
| 1951年:75歳 | 1953年、フランシス・クリックとジェームズ・ワトソンがDNAの二重らせん構造を提唱する論文を発表
1972年、アーチー・コクランが「効果と効率:保健と医療の疫学」を発表し、公平な保健サービスを提供するためにエビデンスを用いることの重要性について述べる 1979年、天然痘の世界的根絶 |
| 1980年:80歳 | 1999年、世界人口が60億人に到達 |
老化に関する科学の多様な役割
一部の国では、高齢者の障害が減少しています。1999年、米国における研究では、関節置換術や白内障手術を例に挙げ、医療技術の向上が障害を低減させる一因になっていることを明らかにしました。同時に、抗炎症薬や疾患修飾抗リウマチ薬の使用における進歩が、関節炎による障害を低減する一因として挙げられています。最後に、数種類の薬が脳卒中発生の減少と関連付けられています。
晩期高齢者の機能レベルの改善と障害の予防は確かに困難ですが、強力な公衆衛生政策により、ヘルスケアの専門家がこの課題に立ち向かうのに役立つ研究と財源を提供しています。オリンパス株式会社の例は、高齢者の健康と福祉に影響を及ぼす重要な問題に取り組むことによって、新医療の導入の可能性に光を当てています。
長寿に影響を及ぼす重要な要因に対する理解を深める上で、科学も重要な役割を果たすことができます。慶應義塾大学の広瀬医師の例は、科学的研究がいかに老化の謎と寿命の延びの裏にある理由を解明するのに役立っているかを示しています。広瀬医師はは日本の百寿者を調査し、長寿に影響しているかもしれない広範な要因を研究しています。これには生物学、環境、個人の特性が含まれます。この研究はまだ初期段階にありますが、最終目標は老化のプロセスの理解を深めることです。
しかし、高齢者の生活の質を向上させることや、さらには寿命を延ばすことにおける科学の果たす役割について、学術研究者たちの間で明確な一致はなく、むしろ相当な論争になっています(Stefánsson、2005年)。Juengstら(2003)は研究議題が焦点を当てている3つの例を挙げています:
罹患率の低減:ここでの目標は、潜在する分子的過程に介入することによって、老年期のすべての慢性疾患を予防することです。目標は人類の平均寿命を延ばすことですが、必ずしも最高寿命を延ばすことではありません。結果として、私たちは本質的に健康で長生きできるようになるでしょう。
老化減速アプローチ:目標は、老化の基本的な進行を平均寿命と最高寿命が延びる程度まで遅らせることです。
老化停止:簡潔に言うと、この方法は老化の「治療」を模索するものです。老化停止の目標は、代謝の過程で必然的に発生する損傷を取り除くことによって、活力と身体機能を継続的に回復させることです。
最初の2つは比較的議論の対象とはならず、米国、日本、ヨーロッパではかなりの公的セクターの財政支援を受けています。しかし、老化停止の概念は、それほど好意的に受け入れられていません。このアプローチの負の影響がStefánsson(2005年)の論文で述べられています。
研究の役割
バイオテクノロジー、薬理学、遺伝学の分野における発展は、確かにすばらしい機会と課題をもたらします。老化に関する研究は伝統的に平均寿命と死亡率に関連するため、機能的能力の概念はますます注目を集めています。
技術の進歩は既に患者と介護者の悩みの軽減に寄与していますが、さらなる国際的努力が必要です。
神戸の主要投資分野
再生医療は世界中の多くの政府から将来の投資と経済成長のための重要な分野として考えられています。これは神戸医療産業都市構想の重要な特徴でもあります。
この構想は、急速に高齢化する日本社会の要求に応え、医療サービスの質を向上させるよう、先進医療の分野における産業の発展を促進するよう計画されています。
神戸医療産業都市構想の鍵は、細胞療法と再生医療研究です。この分野の知識と技術の向上の面で、この新規構想が世界的に重要な貢献をすることが期待されています。
リンク:
オリンパステルモバイオマテリアル株式会社ウェブサイト(英語、日本語)
生物医学研究リンク:
神戸の財団法人先端医療振興財団