世界保健機関WHO(WHO世界保健機関)の健康の社会的決定要因委員会議長であるマーモット博士は、世界の多くの国で高齢者人口が増加している中で、公平さと健康について考えることの重要性を強調しています。

高齢者の健康に関しては、高、・中・間、低所得国家において共通の問題があります。また、高齢者の健康や機能の格差を考えたときに、このことが人生全体を通してどのように展開するのかを検証する必要があります。

確かに科学は重要で、いずれは健康の向上に役立ちますが、ほかの要因もまた私たちの健康を左右します。私たちが生活し働く中で、所得水準、教育水準、水へのアクセス、住居、医療施設のすべての要因が私たちの健康に影響を及ぼします。健康の社会的決定要因として知られているように、これらの問題をしっかりと認識することが重要で、それによって、個人、家族、地方自治体、国家、世界レベルでの健康への介入をより効果的に行えます。

社会的決定要因は、本質的に健康の格差と関連しています。このことから、貧しく社会から取り残された人々が、より高い社会的地位のより高い人々よりも、なぜ病気にかかりやすく早く死亡するのかがわかります。平均寿命が、シエラレオネ(世界で最も短い)の34歳から、日本(世界で最も長い)の81.9 歳まで、世界で大きく異なるのには、重大な理由があります。

社会的決定要因により、国内における大部分の健康格差の説明もつきます。インドネシアにおける5歳以下の死亡率をみるとは、最貧層の5歳児では最富裕層の5 歳児と比べおおよそ4倍高い死亡率くなっています。英国イングランドとウェールズのでは、最新のデータによると、専門的な仕事に従事している男性と、技術スキルを要しない肉体的な仕事に従事している男性との間には、7.4歳の寿命差のギャップが認められました(1997〜1999年集計)。

これに応えて、WHOは、『健康の社会的決定要因委員会』を2005年に立ち上げ、2008年にその任務を完了しました。貧困、社会的排除、粗末な住宅、貧しい医療制度は、不健康の重要な社会的要因になります。委員会は、不健康の「原因の背景となる原因」に取り組むために必要なエビデンスの収集を支援しました。

人々の生活状況や勤労条件により、健康は促進または悪化破壊されます。例えば、所得不足、不適切な住居、安全でない仕事場、医療制度へのアクセスの不足などが、健康の社会的決定要因となり、国内および国家間の格差につながります。

高齢化における健康の社会的決定要因

社会的受容(および排除)は、そのような社会的決定要因の一つです。家族、友人、地域からの支援は、よりよい健康とかかわりがあります。社会的関係から生まれる思いやりと尊敬や、結果として得られる満足感や幸福感が、健康問題に対する緩衝剤として働いてになっているように思われます。

社会的関係による健康への効果は、喫煙、身体活動、肥満、高血圧のような危険因子と同じくらい重要である可能性があると示唆する研究もあります。

社会的に恵まれない人々や、社会的に孤立している人々では、健康が阻害される危険性が増大する状況健康上の転帰が負となる危険の上昇にさらされ続けています。

このe-ケーススタディで紹介されている日本の人百寿者の全て例において、自分が地域社会の一部であるという感覚により、自分自身の人生を大事にするようになることが示されています。

長期にわたる社会的かかわりの欠如(このケースでは高齢男性)が、いかに認知能力に負の影響を与えるかを示した報告もあります。結論は単純です。:心身ともに健康になるには、活動的に生活し地域社会に関与し続けることです。


出典:Bassuk SS, Glass TA, Berkman LF (1999). Social disengagement and incidence of cognitive decline. Annals of Internal Medicine 131(3):165-73.

所得と健康上の転帰への影響

世界で最も多い死因、および病気と苦痛の最たる原因が、国際疾病分類(ICD)のに示されています。それは 「極度の貧困(コード番号Z.59.5)」です。「極度の貧困」とは食糧、衣類、住居、安全な飲み水等を含む基本的な生活必需品の欠如、2001年に世界銀行によって一日一ドル以下で生活を送る状態と定義された多くの発展途上国に住む人々にみられる状況です。

途上国においては2種類の貧困が存在します。「絶対貧困」は、例えば人間の体を維持するのに必要な食糧を食べる事ができない状態。「相対的貧困」はそれぞれの国によって設定された貧困のラインによりますが、社会の大多数の人々と比較して貧しい状態です。

相対的貧困とは、社会の大半の人々と比べてかなり貧しく、多くの場合、国民平均所得の60%未満での生活であると定義されます。そのような貧困のため、適切な住居、教育、交通手段のような社会生活への完全な参加に欠くことのできないものを利用することができません。社会生活から排除され、同等以下に扱われることによって、健康が悪化し、早世の危険が大きくなります。貧困の中で生活するストレスは、妊娠中の場合や、乳児、小児、高齢者にとって、特に有害です。幾つかの国では、全人口の4分の11/4が(小児ではさらに高い割合で)相対的貧困層となっています。

WHOの最新の世界保健統計では、所得と高齢比率寿命の関係を強調しています。例えば、2006年の高所得層では人々の20%以上が60歳以上であるのに対し、低所得層では6%です。


出典:WHO (2008年). World Health Statistics 2008

教育水準と健康上の転帰

教育は、人々に問題解決の技術スキルと知識をもたらすことによって健康と繁栄に貢献し、人々が生活環境を制御し統制する感覚を得るのを助けます。また、教育によって仕事や所得保障を得る機会が増え、さらに健康を維持するのに役立つ情報を利用し理解する能力が改善されます。
教育的達成度は、高齢期時の身体的障害の割合に反比例します(すなわち教育レベルが高いほど、高齢期における身体的障害が低くみられます)。

その他の重要な健康の社会的決定要因

このリストは完全ではありませんが、ほかの健康の社会的決定要因には以下のような事項があります:

- 都市化
- 労働条件と失業
- 環境
- ストレス
- 初期の子供の発育
- 生物学的および遺伝的特質

生活の質が貧弱だしいと、寿命は短くなります。貧困、社会的排除および、差別は、辛困窮苦と憎悪をもたらすことによって、命を犠牲にします。

詳細情報:

健康の社会的決定要因委員会(英語)